今回は、都立公園のボランティアへの支援を行う公益財団法人 東京都公園協会 公園事業部の小田嶋悠香さんと山岸貴生さんに、公園ボランティアの魅力についてお話しを伺いました。
東京都公園協会は、都立公園の指定管理者※としての顔を持つ一方で、都立公園にある売店や駐車場で発生した収益を広く都民に還元する「公益還元事業」を展開しています。現在、都立公園の管理はエリアごとに複数の指定管理者によって行われていますが、この還元事業は、管理者の枠組みを超えて「都立公園全体」をより良くすることを目的としています。
公益還元事業のメニューのひとつがボランティアへの支援です。どの団体が管理する公園であっても、そこで活動するボランティアの方々が資金助成や技術講習によって
よりやりがいを持って活動ができるよう、お二人は事務局として制度を運用し、公園の魅力アップを支えています。
日頃から公園ボランティアのみなさんの活躍を近くで見守り、サポートしているお2人に、シニア世代が公園ボランティアを楽しむ秘訣や現状をお聞きしました。
※指定管理者とは;東京都などの自治体に代わって、公園の管理や運営を任されている民間企業や団体のことです。それぞれの団体が持つ専門的なノウハウを活かし、特色あるイベント企画や、専門性の高い維持管理を行うことで、誰もが心地よく過ごせる公園づくりを日々担っています。
「得意」や「好き」が活かせる! 公園はシニアが輝く“活躍の場”
公園は環境保全や憩いの場のみならず、自分の得意分野や興味を活かして輝ける“活躍の場”にもなっています。小田嶋さんは、「公園は、誰もが利用できるオープンスペースであり、多様な人々やさまざまな過ごし方を受け入れることができる場所です。そこにボランティアの方々が関わることで、公園の持つ可能性がさらに広がり、人々の豊かな交流が生まれます。公園が地域とつながり、誰かにとっての『大切な居場所』になることは、自分らしく生き生きとした日常生活を実現することにもつながっています」と話します。
都立公園では、多くのボランティア団体が活動しています。公園協会が指定管理を受けている公園に関わっている団体だけでも140団体ほど、ほかの企業などが指定管理を受けている公園に関わっている団体なども含めると、200団体ぐらいになるのだそうです。そして、活動している方はシニア世代が中心で、70代や80代の方でも現役として活躍されている場合が多いとのことです。
活動内容は非常に多彩です。多くの方がイメージされるお花の世話をする花壇の管理はもとより、雑木林の手入れのほか、庭園の歴史や植物の魅力を来園者に案内するガイド、子どもたちが遊ぶプレーパークの運営、ドッグランの管理、自然観察会といったイベントの企画・運営を行うボランティアさんもいらっしゃるそうです。
公園によっては複数のボランティア団体が関わっていることもあり、例えば日比谷公園では、花壇管理だけでも4団体ほど活動しているそうです。
日々の活動へのサポートも手厚く、各公園にあるサービスセンターや管理所が公園の運営方針や計画に沿って、ボランティアの皆さんと活動の方向性を共有し、現場のパートナーとして活動を細やかにバックアップしています。
社会に役立っている手応えを感じながら、健康づくりや仲間との交流を楽しむ。
多くのシニアが公園でボランティア活動を続けている理由について伺うと、社会貢献だけではない、活動者自身にとっての楽しみや元気につながる側面も見えてきました。
まずは健康面。公園の活動は屋外になりますから、外に出て活動することそのものが、健康維持につながります。家に閉じこもらず、外に出る理由になることも動機付けになるでしょう。そのうえで自然に触れたり、季節の移ろいを肌で感じたりすることは、心身のリフレッシュにも最適です。また、自分が手入れした花壇を見て「きれいですね」と声をかけられたり、イベント運営やガイドをして「楽しかった、ありがとう」と感謝されたりすることは、何よりの喜びです。自身の活動が誰かの笑顔につながっていることを実感できれば、満ち足りた豊かな日々を送ることができます。
また仲間との交流も活動の大きな原動力なのだそうです。山岸さんによれば「作業後にお茶を飲みながらおしゃべりする時間が、大切だというお話しをよく聞きます。『社会の役に立ちたい』という想いや手応えがベースにありつつも、同じ志を持つ仲間とのコミュニケーションが加わることで、活動のやりがいや楽しさが深まり、活動への活力になっているのだと思います。」と語ります。家庭やこれまでの職場とは違う利害関係のない“公園仲間”を通じて、共通の話題で盛り上がることができる居場所があることは、社会の一員であることを感じながら、気負わずに自分らしくいられる大切な時間になっているようです。
ほかにも、知的好奇心を満たせることも魅力として挙げられます。例えばガイドのグループの中には、自主的に勉強会を開き、お互いに知識を深め合っている団体さんもいらっしゃるとのこと。“好き”を突き詰められる大人の学びの場としても機能しているそうです。
公園のボランティアに興味を持っても、いざ始めようとすると、どうしたらいいかわからない、あるいはお花の知識がないといったことから道具を持っていないといった不安もあるかもしれません。これについては、2人が口をそろえて大丈夫と答えました。
公園のサービスセンターや管理事務所が活動の窓口となり、さまざまな活動のサポートをしています。
参加している方々は、必ずしも特別なスキルを持っているというわけではありません。むしろこれまでの仕事や子育て、趣味を通じて培ってきた経験をそれぞれの形で活かしている方が多いのが特徴です。これまでの経験が組織の運営や利用者とのコミュニケーションに役立つなど、さまざまな場面で活かされています。
また、初心者でも安心して始められる環境も整っています。既存の団体であれば先輩たちが丁寧に教えてくれますし、公園協会主催の「スキルアップ講習」では、多様な活動ジャンルに応じた知識・技術を学ぶ機会も提供しています。
ほかにも、「毎週決まった曜日に活動するのが難しい」、「ずっと続けられるか不安」と、一歩踏み出せないでいる方向けに、「ちょいボラ(ちょっとボランティア)」という、単発参加できるイベント型の活動を企画している公園もあるとのこと。多様な関わり方ができる環境が整いつつあると話します。
公園は地域と人をつなぐハブのような存在で、ボランティアはそれを作る大切な役割
小田嶋さんは「公園は地域の多様な方々が集う場所。ボランティアの皆さんは、公園と地域社会を結びつけるだけでなく、自らの手で公園の新しい魅力や活気を生み出してくれる、公園になくてはならないパートナーです」と語ります。また山岸さんは「ボランティアというと、災害や福祉に関わるイメージが強いかもしれませんが、公園ボランティアの活動は、もっと身近な『日常』にあります。花壇の手入れや自然保全、イベント運営など、自分の興味や特技を活かして、活躍できるフィールドがたくさんあります」と話します。
あわせて、シニアの参加層が多いなかで、活動歴が長い団体は高齢化が進んでいるところもあるため、新たな参加者を心待ちにしているところもあるとしています。こうした状況から、東京都公園協会として公園ボランティアに関してサポートやアピールも積極的にしていきたいという展望もあるそうです。
興味を持ったら、よく行くお気に入りの公園の「サービスセンター(管理所)」を訪ねてみて、声をかけると担当者が活動内容を紹介してくれます。また、お二人の部署でも相談に対応し、公園へつなげるとのこと。
東京都公園協会のウェブサイトには、各公園のページに、その公園で活動するボランティアの紹介があります。また「都立公園ボランティア情報」には、ボランティアの活動取材記事等を掲載しています。公園ボランティアに興味を持った方は、これらのページをご覧ください。
100年活躍ナビでも「手伝う」で、さまざまなボランティア活動を紹介しています。こちらを参考にしてみるのもいいでしょう。いつもの散歩コースが新たな活躍の場に変わるかもしれません。青空の下、新しい仲間と新しい楽しみを見つけてみませんか。


