自分らしく始めるボランティア “好き”を生かして地域とつながる

2026年8月21日(金)

シニア、プレシニアの皆さんの中には、第二の人生を社会への恩返しに充てたいと思っている方も多いことでしょう。例えば、ボランティア活動に加わり、将来を担う子どもたちの成長を助けたい、地域のまちづくりに加わりたい。こうした思いを実現し、有意義な日々を送る2人の女性に話をお聞きしました。

子どもたちに本の魅力を――りぷりんと・ネットワーク 中條さん

放課後の子どもたちが集う目黒区の菅刈学童保育クラブ・遊戯室。2年生を中心とした小学生約20人を前に、読み聞かせグループ「りぷりんと目黒」の中條(ちゅうじょう)かほるさんが、絵本を読んでいました。読むのは、ぬいぐるみと女の子の冒険物語『こんとあき』。初めはざわついていた子どもたちも、抑揚豊かに中條さんが読み進めるうち、いつの間にか物語に聴き入っていました。

小学生に読み聞かせをする中條さん

中條さんは、絵本の読み聞かせを始めて5年目。仕事を辞めて半年たった頃、目黒区の広報紙で、りぷりんと・ネットワークが第1期の読み聞かせ講座を開くのを知り、「本好きには打ってつけ」と、申し込んだのがきっかけでした。
りぷりんと・ネットワークは、東京都健康長寿医療センター研究所のモデル研究からスタートした、シニア世代のNPO法人です。読み聞かせを通じて、ボランティアと子どもたちとの世代間交流を進めるとともに、シニア世代の健康維持を目指し活動しています。講座では、高齢者の健康維持や現代の子どもが置かれている環境について学ぶほか、腹式呼吸法や発声法など、読み聞かせの技術を習います。
講座卒業後、ネットワーク内のりぷりんと目黒に所属し、月に2~3回、学童保育、保育園、高齢者施設などで読み聞かせ活動を続けています。「子どもたちと接する時間を持てるのが喜び。大げさかもしれないけど、社会参加しているというのがやりがいになっています」。次はどの本を読もうかと、図書館に探しに行くのも大きな楽しみだそうです。

活動後はカフェへ 仲間とおしゃべり

りぷりんと目黒の会員は現在54人。全員がシニア世代です。ほとんどが女性で、男性は3人だそうです。
シニア・プレシニア世代のボランティア活動のよいところを聞くと、社会参加できること、生活にメリハリができること、グループに様々な話をする仲間ができること、を挙げました。菅刈学童保育クラブも、同じグループの女性2人との訪問でした。それぞれが1冊ずつ読み聞かせをし、終わると近くのカフェでおしゃべりを楽しんでいました。

「カフェでのおしゃべりも楽しみ」という中條さん

一方、シニア・プレシニア世代がボランティア活動をする上での難しさや課題はあるのでしょうか。中條さんは「やはり体力面ではつらい時もありますね。また、皆さん考え方も性格も固まってしまっているから、グループ活動を続ける上での難しさを感じることもあります」。でも、少しでもボランティアに興味を持っている人にはぜひ加わってほしいと言います。「読み聞かせは、フレイル(加齢により心身が老い衰えた状態)が心配な方、声を出すのが好きな方はぴったり。一緒にどうぞ」と呼びかけています。

まちを花でいっぱいに――大田・花とみどりのまちづくり 牧野さん

午前中からうだるような暑さの大田区・東急大岡山駅前広場。「NPO法人 大田・花とみどりのまちづくり」事務局長の牧野二三代(ふみよ)さんは、夏休みに入ったばかりの大森第六中学校の生徒40人ほどと、花壇の手入れ作業に汗を流していました。1時間足らずのうちに、枯れて茶色に変わった花殻や、生い茂った雑草が取り除かれ、見違えるようにきれいになりました。

中学生に作業について説明する牧野さん

花とみどりのまちづくりは、70~80代を中心とした約100人のボランティアグループ。大田区内の様々な場所で、行政と連携して花壇の整備をするほか、区民農園の管理や緑化事業の普及・啓発イベントの開催などをしています。この日は、大岡山駅近くの商店街や小中学校による花壇整備に協力する「地域活動」の催しでした。
大岡山駅前での活動は、始まって15年もたちます。個人で参加する近くの住民や大学の関係者も多く、すっかり地域に定着しています。牧野さんは「卒業して高校生になっても参加してくれる子もいるんです。花を介して人が集まってくることが活動の魅力。ボランティアをしていてよかったと感じます」と笑顔で話します。

人との出会い 楽しさのみなもと

牧野さんはかつて、造園設計事務所に勤め、外回りのメンテナンスを担当していました。今では、花とみどりのまちづくり事務局長のほか、NPO法人グリーンワークス代表理事も務めています。「花が好き。花好きが集まる人の輪はもっと好き。ほとんど毎日、どこかで何かしら花と緑に関する活動をしている」と言うほど多忙な日々を送っており、東北地方や能登半島の被災地を始め全国各地で、緑あるまちづくりの提案・計画も行っているそうです。

「花好きの人の輪が好き」という牧野さん

同世代のボランティア参加については、「何の活動でもいいから、興味を持ったらやってみてほしい。そうすれば人に会い、人に会えば話が始まり、そこからヒントをもらって、また活動が広がる」。人との出会い・ふれ合いこそが、ボランティア参加の醍醐味だと言います。「いまは、どのボランティア団体も人手不足ぎみなので、きっと大歓迎してくれますよ」とエールを送ってくれました。

まとめ

お二人に共通するのは、自分の「好き」とボランティア活動が無理なくつながっていることです。練習や準備には努力を惜しまないのに、力みや過度の義務感は不思議と感じませんでした。読み聞かせとまちを花で満たす活動は、心身の健康にもつながっていることでしょう。「100年活躍ナビ」には、多くのボランティア団体が登録されています。あなたに合った活動がきっと見つかるはずです。

このコラムをシェアする

  • lineでシェアする(別ウィンドウで開きます)
  • xでシェアする(別ウィンドウで開きます)
  • facebookでシェアする(別ウィンドウで開きます)