懐かしの歌、生演奏で合唱 楽しみながら健康に

2026年9月17日(木)

ギターやピアノの生演奏に合わせて、昭和歌謡やフォークソングを思い切り歌う。そんな楽しい時間を毎月過ごしているシニアたちが江戸川区にいます。歌うことは気分転換になるだけでなく、肺の働きを高めたり滑舌を良くしたりと健康づくりにも効果的。懐かしい歌に笑顔があふれる、その活動の様子を取材しました。

多彩な選曲 「楽しくてしょうがない」

♪また逢う日まで……
江戸川区にあるタワーホール船堀のリハーサル室に、歌声が響き渡ります。昭和40年代の名曲中の名曲、尾崎紀世彦さんの「また逢う日まで」。懐かしのメロディーを歌うサークルで、この日最も盛り上がった一曲です。伴奏は生ギターに生ピアノ。体を左右に揺すりながら熱唱する人、目をつむって自分の世界に入り込み歌う人――軽快なサウンドに切なさ漂う歌詞は、それぞれに若き日を思い出させたようです。曲が終わると自然に拍手が沸き起こりました。

ギターを弾きながら歌う森正樹さん

森正樹さん・恭子さん夫妻が主宰する歌唱サークル「うたごえの森」は毎月1回、休日を中心に江戸川区内で活動しています。会費は1000円。ともに音楽大学で声楽を専攻した正樹さんがギター、恭子さんがピアノを弾き、交代でメインボーカルを担当します。この日は、70~80代を中心とした女性22人、男性4人の計26人が集まり、午前10時から計17曲を歌いました。曲目は、唱歌「われは海の子」に始まり、井上陽水さんの「少年時代」、唱歌「埴生の宿」、石原裕次郎さん・浅丘ルリ子さんの「山の湖」など実に多彩です。

「楽しくてしょうがない」と話す小山都さん

「そりゃあ、楽しくてしょうがないですよ。(森さんが)リードしてくれるから、よく知らない歌でも声を出せます。これからも毎回来るつもり」。4回目の参加という小山都さん(江戸川区)は、こう魅力を語ります。

カラオケよりいいね 生演奏

参加者の皆さんが楽しみにしているのは、歌うことだけではありません。正樹さん・恭子さんが曲ごとに歌の特徴や時代背景を解説してくれるのです。例えば、終戦から3年後に発売された岡晴夫さんの「憧れのハワイ航路」では、「今と違って一般庶民が外国には行けなかった時代。岡さんの軽やかな歌声は外国への憧れをよく表現しています」と、歌う時の心の持ち方を教えてくれます。

ピアノを弾く森恭子さん

特に正樹さんは学校の先生だけに、話術はお手のもの。時に脱線ぎみになるのもいいところです。ペギー葉山さんの「学生時代」では自身の思い出話が飛び出しました。「♪ロウソクの灯に輝く」で始まる3番の歌詞について、「このフレーズに来ると、若い頃を思い出して泣きそうになっちゃうんです、グッときてしまうんです」と話し、参加者の微笑みを誘っていました。
曲目は森さん夫妻が選ぶほかに、参加者からのリクエストを受け付けています。終了後に専用の用紙に記入しておくと、原則として次回に取り上げてくれます。前回、森山良子さんの「この広い野原いっぱい」をリクエストし、この日取り上げてもらった76歳女性(江戸川区)は「リクエスト曲も歌えて、本当に楽しかった。カラオケもいいけど、生演奏で歌えるなんて最高にぜいたく。仲間を誘ってみんなでまた来たい」と喜んでいました。

思いをこめて歌う参加者の皆さん

ちあきなおみさんや細川たかしさんが歌った「矢切の渡し」をリクエストしていたのは服部和彦さん(江東区)。高校の同級生の松田亨さん(中野区)に誘われて半年ほど前から通うようになったそうです。服部さんは「好きな曲を歌えた」、松田さんは「昔通った新宿の歌声喫茶を思い出すなあ」と満足げでした。
1時間半近くたっぷり楽しんだ参加者は、恒例のエンディング曲「今日の日はさようなら」を合唱。次回での再会を胸に解散となりました。

歌えば健康 いいことずくめ

森さん夫妻が「うたごえの森」を始めたのは10年前。当初は必ずしもシニア世代向けのサークルが目的ではありませんでした。日本の伝統的な童謡や唱歌を後世に残したいという正樹さんの思いが出発点でした。音楽教諭をしていて、これら名曲を若い世代が覚える機会が減っていることに危機感を抱いていたからです。

森正樹さんと恭子さん

結果として現在はシニア中心のサークルになっていますが、そこから歌うことの意義を再発見しました。歌うことは呼吸を整え、口を動かせば滑舌がよくなる。歌詞の文字を追い、メロディーを思い出せば、脳の活性が促される。「肺を使い腹式呼吸を覚えると誤嚥(ごえん)防止にもつながると思うんです」。歌うことと健康とのつながりを深く意識するようになったそうです。
活動をより多くの人に知ってもらおうと、100年活躍ナビを積極活用しています。毎回、イベント登録し、東京ポイントも付与されるようにしています。この日も100年活躍ナビで「うたごえの森」を知ったという人が5人ほど参加していました。
恭子さんは「ぶらりと来て楽しんでほしい。リクエストにもどんどん応じていきたいです」、正樹さんは「楽しい雰囲気づくりを心掛け、音楽の質にもこだわっています。多くの方の参加をお待ちしています」と話していました。

森さん夫妻と参加者の皆さん

まとめ

心から楽しめる趣味を持つことは、仕事からリタイアした生活を充実させる大きな鍵です。同好の仲間と一緒にできたら、楽しさは何倍にも膨らみます。今回ご紹介した「うたごえの森」には、100年活躍ナビでこのような趣味の世界を手に入れたという方がいました。ナビを使いこなして、自分に合った趣味と仲間を見つけてみましょう。

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