SNSは「見る」だけじゃもったいない!広がるつながりの場
日本ではデジタルデバイトと呼ばれる、デジタル技術を扱うことができる人とできない人との間に生じる格差も懸念されていますが、人口に対するシニアの割合は年々増加している背景もあり、「デジタルシニア」と呼ばれる方も増えてきています。デジタルシニアとは、日々の生活においてスマートフォンやPCを日常的に使いこなしているシニア層のことを表しています。また、インターネットに親しんでいる層が、次第にシニア世代へとシフトしていくため、ネットを積極的に活用していくシニア層が増加していくことも見込まれます。
SNSは「ソーシャルネットワーキングサービス (Social Networking Service)」の略となっており、ネット上で人と人とのつながりを促進していくサービスのことを指しています。特にSNSが役立つのは、「身近に共通の趣味を持つ人がいない」「昔の仲間とは疎遠になった」と感じている方にとって“新しいつながり”の場になること。共通の関心ごとをきっかけに、地域や年齢を越えたつながりを生む場としてSNSは役立ちます。若者向けというイメージもありますが、シニアにとっても大きな可能性を秘めたサービスです。
どれを選べばいい?シニアにおすすめのSNS一覧
SNS、とひと口に言っても、「LINE」「YouTube」といったよく知られているものから、シニア向けに特化したものまで、その種類はさまざまあります。自身の目的や使い方に応じて、ピッタリのものを選ぶことが大切となります。とはいえ、実際に始めるとなるとどれがいいのかわからない……と思いがち。そのときは、まず情報収集のように“見るだけ”から始めてみましょう。気になるSNSを少しずつでも見ていって、投稿や情報に触れていくことが大切です。
各SNSとその特徴紹介

発信するときは「共感」と「安心」がカギ

SNSで仲間を見つけたいと思ったとき、大切なのは“発信”です。ただ発信といっても、特別なことをする必要はありません。とはいえ、意識しておいたほうがいいことはあります。初心者が意識したいSNSでの発信について、5つのポイント(コツ)を紹介します。
(1)自分の好きなことを投稿:ガーデニング、料理、旅行など趣味の話題を中心に。特技を披露してもいいでしょう。
(2)写真を添える:風景や手料理など、文章だけではなく写真も添えると、視覚的にわかりやすくなり、魅力も伝わりやすくなります。
(3)無理のない頻度で投稿:毎日ではなくても、週に1回程度で十分です。まずは続けることが何より大切。投稿を続けていくなかで、自分にあったペースというのもわかってきます。
(4)他の人の投稿に反応する:共感した投稿に「いいね」をしていき、慣れてきたらコメントもしてみましょう。
(5)反応は気にしすぎない:「誰かに見てもらえたらラッキー」くらいの気持ちで。ゆっくり、自分のペースで発信を楽しみましょう。
シニアがSNSで注意すべき4つのリスク

便利なSNSですが、使い方を間違えるとトラブルの原因にもなりかねません。特に発信するとなると、気をつけなければいけないポイントもあります。それを4つ紹介します。
(1)「知り合いだけが見ている」とは思わないこと:投稿は意外と広く見られています。自宅の場所がわかってしまうような外観や、表札などが写り込まないよう注意しましょう。また発信する言葉や、コメントにも注意が必要です。投稿前に、一呼吸をしましょう。
(2)写真や動画の“うっかり”情報漏れ:位置情報が自動で付いてしまう場合があります。スマホの設定で「位置情報オフ」を確認しましょう。また映っている服のロゴや背景の看板にも注意しましょう。
(3)他人の写真・名前の取り扱い:本人の了承なしに写真や名前を投稿するのはNGです。「写っている人は大丈夫かな?」と、必ず確認をしましょう。
(4)誤情報に惑わされず、むやみにその情報を投稿・拡散しないこと:最近はAIの画像や音声を使って、誤った情報や勧誘をするといった事例も発生しています。具体的に、公共料金が無料になるなど誤った行政情報を流すケースがあり、実際に東京都では、「YouTube上に“65歳以上の高齢者に対するバス代が完全無料になる”という誤った情報が投稿されています」と、誤情報の注意喚起を行っています。
ほかにも、著名人や有名投資家の名前を使った投資詐欺も発生しており、画像の無断掲載のみならず、有名人の動画に生成AIで作った都合の良い内容の音声をかぶせる、いわゆる「フェイク動画」によるニセ広告もSNS上で表示されることもあります。なかには巧妙かつ精巧に作られているものもあり、見破るのが難しいものもあります。
SNS上には、事実かどうかわからない情報がたくさん拡散され、流通している現状もあります。著名人や有名人が言っていたりオススメしているからとうのみにはせず、行政のホームページなど複数の情報源にあたるようにしましょう。また、“もうかりそうだから”“便利そうだから”と、自分自身が安易にその情報をSNSなどで他の人に教えたりするようなことはせず、拡散しないように心得ることも重要です。
なお、SNSを含めたネットの活用には、総務省が「スマートフォン・タブレットなどインターネットを安全に利用するためにトラブル対策ブック」(シニア)を公開しているので、そちらも参考にしてみましょう。
まとめ:SNSはマイペースが一番
SNSを始めるのに、年齢や経験は関係ありません。 大事なのは、「無理せず」「気をつけながら」「楽しむこと」。まず気になるSNSをのぞいてみるところから始めてみましょう。新しい趣味仲間や、ちょっとした日々の楽しさが広がっていきます。